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「転ばぬ先の杖(つえ)」、「備えあれば憂い(うれい)なし」。企業も個人もリスクマネジメントをしよう!

コンサルタントが世界一やさしく教えるビジネス思考(23)
太期 健三郎 だいごけんざぶろう
ワークデザイン研究所 代表

「リスクマネジメント」「危機管理」への関心・意識が、この1年ほど、急激に高まっています。そのきっかけは二つあります。一つは昨年3月11日の東日本大震災、もう一つは、大王製紙、オリンパスなどの経営トップによる不祥事の発生です。リスクという言葉は、なかなか日本語に当てはめにくい言葉です。ハイリスク、ハイリターンなどと使われますが、「危険」とも少しニュアンスが違い、厳密には「不確実性」を示します。今回のコラムでは、リスクマネジメント、危機管理という文脈の中で、リスクとは「起きたらイヤなこと」として説明していきましょう。

■「企業にとってのリスク」を、頻度と影響度からマッピングする

リスクマネジメントとは「リスク発生を予防し、もし発生してしまったら被害を最小限にとどめる一連の活動」のことです。先にも書きましたが、リスクとは、発生したらイヤなこと、困ること、損害を発生させるものです。

企業にとってのリスクには、法令違反、社員・役員の不祥事、個人情報の漏えい、自然災害(地震、大雨、洪水等)など、さまざまな種類があります。

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例えば、皆さんの記憶に新しいところでは、大王製紙の元会長への不正融資や、オリンパスの不正決算など経営トップによる不祥事があります。これはガバナンス(企業統治)不全というリスクです。もう一つは企業経営に大きな影響を与えた、昨年の東日本大震災やタイの大雨大洪水などの自然災害リスクではないでしょうか。

■リスクマネジメントの基本は「予防」

リスクマネジメントの定義を前述しましたが、基本は「予防」(発生防止)です。その上で、もし発生しても被害の拡大を防ぐ、二次的被害発生の防止するなど被害を最小限に食い止める(とどめる)ことも、リスクマネジメントの重要な側面になります。

なぜ、基本は「予防」なのかと言えば、発生後の対応コストや損失額に比べて、発生前の予防コストの方がはるかに小さいからです。

今年、インフルエンザは過去10年間で2番目という規模で大流行しましたが、「インフルエンザ、風邪」を例に説明しましょう。

インフルエンザや風邪は、どちらも対策の基本は「予防」です。具体的には、手洗い、うがいを欠かさず行う。予防接種を受ける。疲れていたり、体調が悪いときにはなるべく人混みに出ない。マスクを付ける――などがあります。

万一、かかってしまったら、栄養、消化の良いものを食べて、しっかり休養をとり、こじらせないようにすることが基本ですよね。また、家族や職場の人にうつさないように気をつけることは二次被害の拡大防止と言えます。これが事後に被害を最小限にとどめることです。



予防にかかるコストと、発生した場合の対応コストや損失額を比較してみましょう。

手洗い、うがいを行う手間や時間、マスク、予防接種に必要なお金は、インフルエンザ、風邪にかかってしまった場合のコスト(診察費、薬代等)や、時間の損失、肉体的・精神的苦痛などの被害に比べてはるかに小さいことは明らかです。「注意一秒、ケガ一生」という言葉は、リスクマネジメントの基本は「予防」という本質を示した言葉だと思います。

繰り返しになりますが、「企業リスクは発生させない! 発生してしまったら、被害を最小限に抑える」がリスク・マネジメントの大原則です。

インフルエンザ、風邪に置き換えれば「かからない! かかってしまったらこじらせない」となるでしょう。

■「PDCA」サイクルで見る、リスクマネジメントの推進ステップ

リスクマネジメントの推進ステップを簡単に説明します。基本的な考え方は通常の「PDCA」サイクル(PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACTION(修正))です(コラムバックナンバー第10回「PDCAを正しく理解、実行すれば、仕事の質とスピードは飛躍的に高まる!」〔本記事下の「関連記事」参照〕をご参照ください)。

1.PLAN(計画)



(1)自社の事業に関わるリスクの洗い出しを行います。

(2)洗い出したリスクの評価を行います。通常、「発生頻度」と「発生時の被害の大きさ」の二つの基準で評価を行います(前掲のリスクマップ参照)。

(3)洗い出しと評価付けをしたリスクに、会社として対応する優先順位付けを行います。

(4)リスク・マネジメントを推進する際の基本原則を示す「リスクマネジメント・ポリシー」と、個別リスクへの「ガイドライン(≒対応マニュアル)」を作成します。

(5)リスクマネジメント、各種ガイドラインを社員に周知します。一方的な説明ではなく、理解、納得を心がけます。

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2.DO(実行)



(6)リスク・マネジメントについての社内、社外からの問い合わせに対応し、蓄積します。蓄積された問い合わせは運用体制や各種ルールの見直しに役立つ貴重な情報です。

(7)リスク・マネジメントの意識を高め、浸透、定着させるために、継続して啓発活動を行います。一時的な活動で終わらせないために、地道に愚直に続けます。

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3.CHECK(評価)



(8)リスクマネジメントの運用状況の評価、測定を行います。リスク・マネジメントに関わらず、始めたら始めっ放しでチェックを怠る企業は少なくありません。確実にPDCAサイクルを廻(まわ)すポイントはCHECKにあります。

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4.ACTION(修正)



(9)CHECKの運用状況の評価、測定を受けて、ガイドライン、運用ルール、運用方法の見直しを行います。このメンテナンス続けることで、リスク・マネジメントの形骸化を防ぐことができます。

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■リスクマネジメントの視点から、個人のキャリアを考える

最後にビジネスパーソンとして、リスクマネジメントの視点で仕事のキャリアを考えてみましょう。長い職業人生ではさまざまなリスクが存在します。例えば、問題上司によるパワーハラスメント、セクシャルハラスメントや勤務先の倒産、リストラ等による失業、病気やケガによる休職……等々。

企業に勤めれば一生安泰という時代ではなくなってきた今、それらのリスクへ備える必要性は高まりつつあります。事前に予防、対策を行えるものもあれば、行えないものもあります。

しかし、60歳、65歳までと働き続ける中で、どんなリスクが存在するのかを把握し、予防策と発生時の対応策を考えておくことは、とても大切なことだと思います。

下の表が、個人の人生におけるリスクを例示したものです。
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では、具体的にどんなことを考えれば良いでしょうか。いくつか代表的な方策を三つ例示したいと思います。

一つ目は、自分の能力、適性などを客観的に把握し、自分に適したフィールド、土俵を見つけること。不適切な仕事、働き方を続けることはリスク発生確率を高めます。

次に、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力のこと。Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた造語)を高めることです。具体的には、仕事に求められる知識やスキルを獲得することでしょう。これはリストラなどの失業の可能性を減らし、失業しても新たな仕事を獲得しやすい、という予防と事後対応の両方に有効なことです。

三つ目は、多少のリスクが発生しても、それに対応できる健康(肉体的健康と精神的健康)と、ある程度の蓄え(働けなくなっても3カ月から6カ月は暮らしていける貯金)を持っていることでしょう。

進化論を提唱したダーウィンは言っています。「強いものが生き残るのではなく、変化に対応できる種が生き残る」のだと。

ビジネスパーソンのキャリアを考える上で大切なことは、自分が働く最適の環境を見つけ、変化に対応できる力を身に付けることではないでしょうか。

いずれにしても「転ばぬ先の杖(つえ)」「備えあれば憂い(うれい)なし」です。リスクを把握して「曖昧(あいまい)な不安」を解消し、「健全な危機感」を持ちたいものです。
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