人材育成のポイント ~育成の役割分担編~

育成の役割分担

「人材育成を基本から学びたい」と思っている管理職向けの基本シリーズです。

新任管理職研修で、昇格直後の管理職の方とお話をしていると
 「人材育成で悩んでいるので打開策を教えて欲しい」というご要望を頂くことがあります。

お話をよくよく聞いてみると、
 「1人で悩んでいる」
 「自分の独力で育てようとしている」ことがあります。
  しかし、そもそも自分1人で部下を育てる必要はなく、
  自分の上司や、チームにいるベテラン社員と一緒に育てる、
つまり
 育成の役割分担を行い、
 みんなで育てれば良いのではないでしょうか。

自分の育成スキルを上げていくことも重要ですが、
 周囲の力を上手く借りながら、
 育ちやすい環境の整備を行っていくことも、
 管理職の仕事です。
そこで今回は、育成の役割分担についてご紹介していきます。



ー 目次 ー [非表示]
1.役割分担のイメージ
2.初歩的な役割分担
3.育成の役割分担まとめ


1.役割分担のイメージ

家族で役割分担

人材育成の役割分担は、サザエさんの磯野家をイメージするとわかりやすいです。

育成対象がカツオ君だとします。

カツオ君を1人で育てている状態を磯野家でイメージすると、
 波平さんが孤軍奮闘している状態。
波平さんと言えば、
 カツオ君に対する叱りキャラです。
カツオ君が叱られるようなことをするから悪いのですが、
 カツオ君の育成担当が波平さんしかいないと、
 カツオ君は毎日叱られることになります。

波平さんの良いところは、
 普段の細かいところはサザエさんに任せて、
 どっしり構え、
 何かあったときに座敷に呼びつけて、
 しっかりと叱るところではないでしょうか。
サザエさんのように宿題どうした?と細かいことは言わない。




磯野家の役割分担
•波平さんの役割
  どっしり構えて、要所でしっかり褒める。叱る。
•おフネさんの役割
  暖かく見守る。
•サザエさんの役割
  カツオ君のしつけ担当。細かいところをチェック!
•マスオさんの役割
  カツオ君のフォロー役。良き話し相手にもなる。
•ワカメちゃんの役割
  学校にいるときのカツオ君の様子を報告する。貴重な情報源。
•タラちゃんの役割
  タラちゃんの前ではカツオ君もお兄さん役を演じるため、貴重な存在。




毎日が磯野家だけだとマンネリ化するので、親戚、お隣付き合いも大切。

●ノリスケおじさんの役割
  時々遊びに来て、面白いことを言ってくれる。
●伊佐坂先生の役割
  時々有難いお言葉を述べる。

磯野家では、実に多くの人がカツオ君の成長に関わっています。
それに対して、今のビジネス現場はどうでしょうか。
家庭は核家族化し、
 地域ではコミュニティが崩壊したと言われていますが、
 ビジネス現場でも同じようなことが起こってはいないでしょうか。



2.初歩的な役割分担

チームで役割分担

役割分担するには、
 そもそもどんな役割が存在して、
 どの役割を誰に任せるかを考えていくことになります。
役割の設定については、
 色々な考え方があって良いと思いますが、
 ここではもっとも初歩的な役割についてご紹介していきます。



バランスをとるための三役
•褒め役
  どっしり構えて、要所でしっかり褒める。

•叱り役(しつけ役)
  細かいところをフィードバックしていく。

•相談、フォロー役
  上司やベテラン社員に相談しにくいところをフォローしていく。

褒め役は
  その組織内でトップの位置にいる人が演じると良いでしょう。

  トップが細かいことをガミガミ言うと、
   皆が委縮してしまいます。
  褒めるときには「評価」という側面もありますので、
   組織、会社を代表して、しっかり褒める。

叱り役(しつけ役)も必要です。
  お客様や他の社員に対して
   良くない行動を起こした際にストップをかける役。
  叱り役はNO.2の位置にいる人が担当すると良いでしょう。
  この役割には社員からの不満が集まりやすいので、
   トップが叱り役をフォローし、
   大義名分を与えることが重要です。

相談、フォロー役には
  身近な先輩社員を据えると良いでしょう。
  相談に乗りながら、
   育成される側の気持ちを支えていきます。

人員リソースの問題もあるかと思いますが、
 上記三役はそれぞれ別の人が担当したほうが良いでしょう。



育成の「主担当」

誰が育成の主担当をするのか。しっかりと決めておきましょう。

仕事の仕方、会社のルールなどを教える指導役とも言えます。
大きな責任が伴いますので、
 ある程度経験を積んだ人や、
 会社が模範的な社員として推薦できるような人が良いでしょう。

チームの人数が多い場合は、
 必ずしも、チームのトップが育成の主担当である必要はないでしょう。
トップは全体に対して責任を追いますので、
 ある意味ではどの部下に対しても育成責任があるため、
 1人ひとりの部下に対して投下できる時間が限られてしまいます。

育成の主担当は、
 次期管理職の候補となっている人が担うと良いでしょう。
 管理職になる前の良い練習にもなります。



相談・フォロー役に関して注意すべき点

ガス抜きをする役割とも言えます。
完璧な管理職、育成者などいないため、
 どうして教えきれなかったり、
 部下の気持ちを汲んだ発言ができないこともあると思います。
相談する相手がいないと、
 育成される側も気持ち的に追い詰められてしまうこともあるため、とても重要な役割です。

注意が必要なのは、
 相談・フォロー役が育成される人と一緒になって
 「愚痴を言ってしまう」ことがあるということです。

人間なので多少は致し方ありませんが、
 ずっと放置しておくと褒め役、叱り役、育成の主担当の言っていることに
 正面から反応できないような社員を作り出すことになります。
その組織のトップが相談・フォロー役と
 しっかりとコミュニケーションがとれている必要があります。



3.育成の役割分担まとめ

コーヒーブレイク
新入社員が入ってきた、
 部署異動で新しい仲間が増えたタイミングで、
 育成上の役割分担を設定し、
 3役、主担当などで役割を共有しておくことが重要です。

サザエさんの磯野家ではないですが、
 カツオ君がのびのびと成長できるような育成環境が作れるといいですね。
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「育成計画」の考え方

皆さんは部下の育成計画を立てていますか?
どう育てる(How to)かも大切ですが、
 どれぐらいかけて(How long)
 どの状態(Goal)まで育成していくのか
 育成計画も非常に重要ですよね。

成長のあるべき姿をステップ化する

ステップ化する

育成対象となっている社員が昇格するまでのステップを、
 5ステップ前後に区切って考えます。

別に何ステップでも問題ないのですが、
 あまりステップが細かすぎるとわかりにくいですし、
 逆に粗すぎると次のステップまでが遠くなるためイメージがわかない、
 ということになりかねません。

各ステップに到達するまでの期間が、
 半年~1年ぐらいになるように設定すると丁度良いでしょうか。



各ステップに期限を入れる

●ステップ1:入社~半年
●ステップ2:半年~1年
●ステップ3:1年~2年
●ステップ4:2年~3年
●ステップ5:3年~4年

上記のようにざっくりと期限を入れていきます。

ステップ化するときのコツは、
 ステップ1、ステップ2など入社直後のステップの難易度を低めに設定し、
 期限も短く設定することです。
入社直後から難しいステップに取り組むと成功体験が積みにくいので、
 最初の2ステップぐらいまでは簡単にクリアできるように設定します。

成長の状態をステップ化する-こんな簡単な話ですが、
 案外、ステップを作成し社員と共有している企業が少ないように感じています。

"
元々、育成をステップ化していない
過去に作成したステップやキャリアパスが使えなくなってきた
人事評価制度はあるが、細かすぎて形骸化している
人事評価制度はあるが、全社での統一感を重視した結果、一般的・抽象的過ぎて使いにくい
"
まずは育成対象となる社員が、「自身の成長ステップを明確にイメージできている状態」を作っていきましょう。



汎用性が高い5ステップ
ステップ1(0 Rank) :一連の業務について、知識として理解している
ステップ2(C Rank) :上司や先輩のフォローがあれば、業務を遂行できる
ステップ3(B Rank) :単独で業務を行うことができる
ステップ4(A Rank) :後輩に業務のやり方を指導できる
ステップ5(S Rank) :チーム全体を考えて、業務を行うことができる

周囲との関わり方でステップを考える

何に焦点を当ててステップ化をしていくか。
それぞれの企業ごとのやりやすい形を採用すれば良いと思いますが、
 汎用性が高いステップが上の表になります。
周囲との関わり方をステップ化したものになります。

業務内容そのものでステップを作成していくのも一つの手ですが、
 いくつかデメリットがあります。

●どうしてもステップの内容が細かくなりがち。
(●●と■■と▲▲の業務ができるようになったら次のステップへ等)
●職種や仕事内容が部下ごとに異なる場合、部下ごとにステップを考えないといけないので、作成が大変。

実際にやってみるとわかることですが、
 業務そのもので考えるよりも、
 「周囲との関わり方の変化」でステップを検討したほうが、
 実用的で汎用性が高いステップを作成することができます。

上の表は、「チーム」と「育成対象になっている人間」との関わり方をステップ化したものになります。

ステップの中身を詰める

先のステップで言えば、以下の問いに答えるイメージで中身を詰めていきます。

●「一連の業務」って何?
●「単独で」ってどんな状態?ステップ3だと上司に相談したら駄目??
●「指導することができる」ってどんな状態?メンタル面のフォローも「指導」に入る??

こうした問いに答えることができるよう、
 ステップの中身をイメージしておくことは非常に重要です。
部下から質問に対応するという意味合いもありますが、
 こうした問いについて部下と共有していくことーそれ自体が育成であり、意味のあることです。



ステップを考えるための、いろいろな軸

会社軸

会社とどのような関わり方をしているのか。
受動的な状態から、
 能動的な状態にステップを変化させていくと良いでしょう。
会社の中期経営計画や経理理念、
 ルールもろくに知らない社員に、
 大きな仕事を任せることはできませんので、
 育成の軸としては重要です。


他部署軸

他部署、他部署の人間とどのような関わり方をしているのか。
仕事はできるけど、他部署との関わり方が上手でない人間に、
 多くの仕事を任せることはできません。
やはり育成の軸としては必須でしょう。


上司軸

上司との関わり方も一つの軸です。
言われたことはできる→自分の意見が言える
 →上司の意図を汲むだけではなく、
 自分なりの創意工夫ができる、
 などステップ化してみると、
 どれも育成上は大切なステップであることがわかります。


お客様軸、社会軸…

他にもお客様との関わり方、
 社会全般との関わり方など、実に多様な軸が存在します。

全ての軸について考えることが好ましいですが、
 育成上の優先順位を決めて、
 3軸×5ステップぐらいで整理しておくと良いのではないでしょうか。



育成計画のまとめ


軸ごとにステップが完成したら、
 育成対象となっている部下と共有します。
人材育成は日々の積み重ねですから、
 ステップが完成したからと言って、
 急に部下が成長するということはありませんが、
 わかりやすいモノサシがあったほうが、努力がしやすいです。

上司、部下、会社。3者にとってわかりやすく、意義のあるモノサシができるといいですね。
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