『子どもに勉強を教えるな』 -「ヨコミネ式」自学自習の10か条ー(宝島社新書)

子どもに勉強を教えるな 「ヨコミネ式」自学自習の10か条 (宝島社新書 312)/横峯 吉文

著者は、プロゴルファーの横峯さくらさんの伯父さんです。

気づいたこと

(1)一斉授業では子どもの能力を伸ばせない

 なぜ?
 その理由が次のように挙げられていました。

 ●学校では、クラスの2割はできる生徒、2割は苦手な生徒、6割は普通の生徒。
  一斉授業は、この6割に照準を合わせたものであるため。(p.23)

 なるほど。
 2-2-6割は自分にとっては新しい。
 これまでは3-4-3(さしみ)の法則と覚えていたので。
 でも、2-2-6の方が、現実に近い感じがします。



(2)卒業した後、子どもがどう育つのか気になっているか

 著者は述べます。

 卒業した後、子どもがどう育つか気にならないようなプロ意識の低い先生がいる。
 気になるのが当然。
 著者の園の先生たちは、教え子が小学校に進んだ後、その学校の授業参観に行く先生が
 かなりいるといいます。(p.27)

 これは大事な観点だと思います。
 私がこのことに実感をもって気づいたのは、高校教諭として勤務しだしてからです。
 それまでは、中学校のことしか考えていなかったかもしれません。
 今、自分の目の前の生徒のことに一生懸命になる。
 そうして教育してきたような気がします。

 ただ、高校に勤めてみて、やはり、中学校は、高校を意識して教育すべしという思いに
 いたりました。
 高校に進んだ新入生は、中高英語の大きなギャップにとまどうからです。
 どんなギャップにとまどうのかについては、2年かけてまとめてみたので、
 また今度書いてみたいと思います。



(3)プロであるならば、絶対に親のせいにしてはいけない

 このことについて著者次のように言っています。

 何でも「親が悪い」と片付けてしまっては、保育のプロなど必要ない。
 プロであるならば、絶対に親のせいにしてはいけないのです。
 どんな家庭の子どもでも、その事情をくみ取って対処すべきなのです。
 親のせいにしてはいけません。
 ましてや、子どものせいにするなど許されません。(p.29-32)

 このことについては大賛成です。
 私は「教師が伸びる条件」として必要なことは?と聞かれたら、まず、
 
  人のせいにしないこと
 
 と答えると思います。
 
 人のせいにしないから、どうにかしないといけないと本気になって、
 対策を考えるのです。


(4)知識を与えるな。自分で学んだものしか身につかない

 詳しく言うと、10歳までの幼少期には、

  子どもたちにとって
  与えられる知識など
   役に立ちません。


  子どもたちは、
   自分の頭で考え学びとったものしか
   身につかないのです
。(p.36)


 これは、関西外大の中嶋洋一先生がよく言われる、

  気づきの重要性

 と関連が深いと思いました。
 
 英語授業だけでなく、教育全般に関して言える原理・原則のような気がします。
  
 与えるのでなく、「知りたい!」という気にさせ、
 自ら学びとっていく姿勢にする


 ことが、教育において大切なのだと再認識しました。


(5)自学自習のためのポイント

 子どもは自分で学び、自分で習得していくので、
 大人がすることは、次のことだと、著者は言います。

 子どもを甘やかさずに、毎日少しの時間でも継続して自学自習を繰り返す。
 できなかったらしかって、できたらきちんと認めてあげる。(p.47)
 なるほど。
 


(6)預かっているだけで、子どもの人生に貢献していない

 横峯氏の保育園は、昔、

 子どもを預かっているだけで、何ひとつ子どもたちの人生に貢献していなかった。
 これが長い間の現実だった。(p.54)

 と述べています。

 この状況をどうにかしたいと思い、著者がしたことは、なんでしょう。
 基本に戻ったのです。

 子どもたちの顔をよく見ることにしました。
 つまり、子どもたちが楽しそうなことをしよう。
 子どもたちが生き生きとした顔を見せることだけをやろうと決めたのです。
 すると、いろんなことがわかってきました。(p.55)

 例えば、次の大切なことが分かったのです。

 子どもたちは、走ることが好き。
 ただし、「ひとりで家まで走って帰れ!」と命令されて走ることは楽しくない。
 「走って競争すること」が好き

 「やることは同じ」でも、楽しくやれる環境や状況があることが分かった。(p.56)


 これは大変重要な視点だと思います。
  
  やることは同じでも、
  人に言われてするのはいやだ。
  楽しくできる環境がある。

  自分からやるのは好きだけど、
  言われてやらされるのは嫌い。



 これは、勉強を考えてもわかりますね。

 著者は、以上のようなことを、子どもの「顔を見る」ことで見つけていったのです。
 言い方を変えると、「顔に書いてある」のです。



(7)教えないことは難しい

 「今の親はこういう人が多い」という例として、著者は、次のことを挙げています。
 思い当たるふしはありませんか。


 子どもがテキストに向かって悩んでいると、すぐに先回りして教えてしまう。
  辛抱できないのです。待てないのです。

 これは私たち教師にも当てはまることが多いかもしれません。

 私たちは、生徒から何か聞かれたら、すぐに答えをおしえてはいないでしょうか。
 子どもが間違えそうなところを、先におしえてしまってはいないでしょうか。
 
 著者は言います。

  子どもに「なんで?」と問われたら「なんでや?調べてみろ」と逆にこちらが問い返せばいい。
  そうして自分で調べたことは、子どもたちは忘れません。
そして
  自分で頭を使えば使うだけ、
  頭はどんどんよくなるのです
。(p.61-62)

 さらにこう続けます。
  
子どもにとって最良の先生は『失敗』なのです。
  子どもたちに勉強を教えるということは、子どもたちが考える機会を奪っているのです。
  子どもが学ぶ機会を奪い取っているのです。(p.63)

 最後にこの一言です。
  
  教えない先生がいちばん偉い。(p.63)


(8)子どもが泣くのは、甘える対象がいるから

 この(8)は、育児上のアドバイスとして有用だと思いました。
 どんなことが書いてあったのでしょう。

  子どもが転んでも助けません。
  (中略)大したことがないと思えば、目をそらして放っておきます。
  すると子どもはだいたい泣いているのが馬鹿らしくなって泣きやむものです。
  泣くというのは、甘える対象がいるから生まれる行動です。
  (中略)子どもは多くの大人が思っているよりも強いのです。(p.65)

これは、私自身も経験があります。

大学生のときに、ボランティアで小学生をキャンプに連れて行っていたときのことでした。
ある子が走ってこちらに来ているときに、こけてしまいました。
そばにいたリーダーの一人がその子に近づき、「大丈夫~?痛かったね~」というと、
その子は「急に」涙目になりました。

近くにいた別のリーダーがすぐに寄って、そのリーダーに言いました。
「こういうときは、こう言うんだよ。」

「大丈夫。痛くないね~」
そう言われた子は、急にもとの顔に戻りました。

私はなるほど!と思いました。
「痛いね」と言われるから
  「痛い」と感じる。

大丈夫?と心配してもらうから、
  甘えたくなる。
少々のことは、
 「大丈夫。痛くない。強いね。」
 この言葉がいいのかもしれません。



(9)基礎は、「知りたい!」と思った時におしえよ

今までと逆の順番を、提案しています。
普通は、「基礎」を学んで、その後、「応用」ですよね。

どのスポーツや習い事でも「基礎」は大事です。
土台がしっかりしていないと、ある一定以上は、うまくならないからです。
しかし、この「基礎」。しばしば子どもたちは嫌います。
スポーツの「基礎練」という言葉を聞いて、「退屈だ」と思う人もいるでしょう。

そこで、著者は言います。

基礎練習から始めると、子どもはちっとも楽しそうにしていなかった。
そこで、「楽しむ」ことを優先し、好きな曲などをまねしてもらうことから始めると、
楽しそうな笑顔が戻ってきた。
でも、基礎を学んでいないので、ある一定以上にはうまくならない。壁にぶつかる。
このとき子どもは自分で聞きにくるそうです。
「ねえ。うまく弾けないんだけど、どうすればいいの?」

子どもが
 自らぶつかった壁を超えたいと思った時が、
 基礎を教えるチャンス。
どんどん吸収します。


まとめです。

  子供が嫌がる基礎は、
   子どもが「もっとうまくなりたい」「知りたい!」と思った時に
   教えるましょう
。(p.75-79)


(10) 子育ての目的は?

あなたはどんな子どもに育てたいのですか。
これを考えておくと、迷った時ほどいいようです。

 勉強のできる子? スポーツの得意なこと? 明るい子?
 優しい子? 人に迷惑をかけない子?

いろいろあります。
いろいろありますが、すべての人が明確に目指すべき人間像というものがあるそうです。
それは、「自立した子ども」です。
動物と違って人間だけは、親から育ててもらわないと、自立することができないのです。

「人間は、子育てによって自立する」(p.85)


次のことも考えておくとよいでしょう。

 「この子が成人する時に、この世の中はどうなっているのだろう。
  そのときに、どんな能力を身に付けていれば幸せになれるだろうか。
  社会に出て活躍するには、どういった力が必要とされるであろうか」((p.91)


もっと深く考えてみましょう。「天命」についてです。

  この世に生まれたものすべてに、「天命」があります。
  (何のために生まれてきたのか。この世で何をなすべきなのか。)
  地球上の生命で、個々の天命が異なり、その天命を知るために
  きちんとした教育を必要とするのは人間だけです。
  あるはずの天命に気づけない不幸が蔓延しているのが、今の社会なのです。
  いい学校、いい会社に入ることが天命だとは思えません。
  誰もが天命たる自分の適職を見つけて、社会に貢献することが大切。(p.91-92)


(11) その他、印象に残った言葉

 ①男と女は違う。教育方法も変える。
 
 ②ほめてばかりいると、当たり前になり、モチベーションアップにつながらない。

 ③ほると認めるは違う。
  現状で満足させず、もっとできるだろうと促す。
  「よし!よく跳べたな。
   次は7段だ。
   どうやったら跳べるか考えてみろ」
  と声をかける。


 ④子どもを飽きさせないためには?
  ■「いつも新鮮」(飽きない課題がいつも提示されている)
  ■「ちょっとだけ難しい課題」(できたこと、簡単すぎることには関心をもたない)
  ■時間やテンポ(持続しにくい集中が続くうちに、いろいろ見せていく)
 
 ⑤子どもが「やる気になる4つのスイッチ」
  ■子どもは競争したがる
  ■子どもはまねをしたがる
  ■子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる
  ■子どもは認められたがる

 ⑥大人ががんばることは、そのほとんどが、子どものためにならない。

 ⑦迷った時は、本に頼るのではなく、まず自分の子どもを見てください。
  答えはそこにあります。子育てでは、一般論を求めすぎてはいけません。
スポンサーサイト

「子どもに勉強を教えるな『ヨコミネ式』自学自習の10箇条」 2010 横峯吉文著

子どもというのは、
 言葉は聞き流しますが、

 大人の「態度」はよく見ています。

大人が言ったことは
 なかなか守らないけれど、
大人がしていることは
 自然と真似するようになります。


電車の中で
 妊婦や高齢者の方に席を譲る姿を見せる親の子は、
 それを真似るようになるでしょう。

ポイ捨てを平気でする親を見たら、
 その子はそれを同じような行為をするようになります。

この本の中でも、
 勉強は
  「教える」のではなく
  「自ら学ぶもの」として捉えられています。


子どもたちが
 自ら学ぶために、

 親としての「態度」を
 今一度振り返ってみられるのもよいかもしれません。


〜本文抜粋〜

・ 教えて育てる「教育」では、
  子どもが育たない。
 自ら学んで育つ「学育」こそが、
  子どもを成長させる。

・ 子どもたちにとって与えられる知識など役に立ちません。
 子どもたちは、
  自分の頭で考え学びとったものしか身につかないのです。

・ 自分でやらせる。
 自分で考えさせる。
 自分で学ばせる。

・「子どもがやる気になる4つのスイッチ」
 ① 子どもは競争したがる
 ② 子どもは真似をしたがる
 ③ 子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる
 ④ 子どもは認められたがる

・ 何よりも大切なのは、
  子どもを見ること。
 そして、子どもをともに育てるパートナーを大切にすること。
検索フォーム
最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
FC2オンラインカウンター ここから --> 現在の閲覧者数: