第3回のテーマは「部下」との人間関係

部下の能力を引き出せるのは上司だけ 

上司の大きな役割は、
 組織の目標を達成することと同時に、
 部下を育てること。


部下の能力を引き出せるか否かは上司しだい、
 といっても過言ではありません。


しかし、
 「部下が意図どおりに働いてくれない」
 「何を考えているかわからない」
  と悩む上司は少なくありません。

いわゆる
 “飲みニケーション”の機会も減っているため、
 部下との距離感を掴みにくくなっているようです。

では、
 どうすれば部下とコミュニケーションをとりつつ、
 その能力を引き出せるのか。

 「風通しをよくする」
 「評価する」
 「叱る」
 「任せる」

 という4つのステップに分けて考えてみたいと思います。

ステップ1
 「職場の風通しをよくする」
 

会社は大人の組織なので、
 本音をぶつけ合えばいいというわけではありません。
しかし、
 言いたいことを溜め込みすぎると、
 士気にも影響を与えます。

上司としては、
 何らかの“風穴”を用意する必要がある。

そこでおすすめなのが、
 「提案シート」の導入です。


私は大教室の授業で
 学生から出席票を回収する際、
 裏にコメントを書いてもらうことにしています。


授業の感想でもいいし、
 「こういう授業にして」というリクエストでもいい。
私はそれに目を通した上で、
 次の授業で反映させたり、紹介したりするわけです。

最初は軽い気持ちで始めたのですが、
 効果は予想外でした。

実にバラエティ豊かでおもしろい意見が寄せられる。

学生にとってみれば、
 直接話すより書くほうが気楽なのでしょう。


それに授業で取り上げられる可能性もあると知って、
 ますます書く手に力が入るようです。
おかげで、
 教室は以前にも増して熱気を帯びるようになりました。

学生の中には、
 ふだんから積極的に私に話しかけてくる者もいれば、
 引っ込み思案な者もいます。
しかし
 教壇に立つ私としては、
 全員の声を分け隔てなく吸い上げる必要があります。
一片の出席票が、
 その有効なツールになっているわけです。


上司への「提案シート」の提出を
 ルール化することで、
 風通しの良い職場へ。 


会社でも、
 この手は使えるのではないでしょうか。

例えば一週間に一度、
 部下から上司に「提案シート」を提出することを
 ルール化するのです。


内容は
 企画のアイデアや
 職場環境に関する質問や意見、
 直面している課題など自由。

「レポート」となると面倒なので、
 せいぜい2~3個の箇条書きで十分。

ただし
 ネガティブな発言だけはNG、などと決めておけば、
 部下も気軽に書けると思います。


ここで寄せられた声を、
 どれだけ吸収できるかは
 上司の力量しだいです。
うまく仕事に反映できれば、
 部下の士気もきっと上がることでしょう。


ステップ2
 「評価する」
 

“○コーチング”で本人に考えさせる 
 
部下の能力を見きわめるなら、
 前述の「提案シート」が役立ちます。

その中に興味深い企画案があったとすれば、
 それを掘り下げてみるのは上司として当然でしょう。
つまりコミュニケーションのきっかけになるわけです。

このとき活用できるのが、
 いわゆる「コーチング」の手法である
 「マッピング・コミュニケーション」です。

דコーチ”とはいっても、
 手取り足取り指導するわけではありません。


○むしろ重要なのは、
 徹底的に聞き役に回ること。


机の角などを利用して90度の角度に座り、
 上司が部下の話をカウンセリング的に聞き出しながら、
 その内容を中央に置いた紙に書き込んでいく。

○一枚の紙を通して認識と情報を共有するのが、
 マッピング・コミュニケーションの大きなポイントです。


例えば企画案の場合なら、
 おそらくそのままでは使えないことが多いと思います。
仕事を覚えはじめた若い人は自己肯定力が強く、
 自分を過大に評価する傾向があります。

しかし
 一方で自己客観視能力が不足気味のため、
 現状認識や見通しが甘くなりがちなのです。

○話をカウンセリング的に聞き出しながら、
 部下自身に問題点を気づかせよう。
 

では、
 それをどう部下に伝えるか。

×「これじゃダメだ」と一蹴するだけでは、
 納得してくれません。


○重要なのは、
 部下自身に気づかせること。


○そこで上司は、
 「こういう場合はどうする?」
 「過去にこういう例があったが」
 と紙に書きながら現実的な質問を繰り返していけばいい。


○その答えを考える過程で、
 部下は思考の浅さに気づいたり、
 打開策を模索したりしていくわけです。
これ自体が、
 部下にとって大きな勉強になるでしょう。


そして「コーチング」が終わるころ、
 紙には思考のプロセスがいろいろ書き込まれているはずです。
それに日付と二人の名前を書き入れ、
 コピーをとって双方で保存する。
これは部下にとって「企画書」になり、
 両者にとって「契約書」になり、
 また上司にとっては部下の「プロファイリング・シート」になります。

部下個々人の知識・能力・意欲などを把握する上で、
 おおいに参考になるはずです。

ステップ3
 「叱る」 

“そもそも論”になってはいけない

上から押さえつけるのではなく、
 問題解決に向けて一緒に考えるという関係性を。 

部下が不注意や怠慢から重大なミスをしたり、
 顧客や取引先に迷惑をかけたりしたときには、
 やはり上司として注意を促す必要があります。

とはいえ、
 豊かな家庭環境の中で育った今の若い人は、
 強い調子で叱られることに慣れていません。

上下関係を認識したり、
 競争に勝つという意識を持つことも苦手です。
無理に叱れば、
 反発するか萎れてしまうかのどちらかでしょう。

まず前提として、
 “そもそも論”にならないことが鉄則です。

「そもそもお前は~」と別の話を持ち出したり、
日常的な態度や姿勢にまで及ぶと、
 それは根本的な能力や人格の否定につながりかねません。
それによって本人が反省したり、
 事態が改善したりすることはあり得ないと思います。

重要なのは、
 やはり現実を認識してもらうこと。

客観的な事実を並べ、
 それに対してどう思うかを尋ねていく。
ここでも、
 「コーチング」と「マッピング・コミュニケーション」が使えます。

問題を二人で共有し、
 一枚の紙に集約させることで、
 個人的な感情とは切り離して冷静に考える。

「叱る・叱られる」という関係性ではなく、
 問題解決に向けて一緒に考えるという関係性をつくるわけです。


その上で、
 ○解決の方法は本人に導き出してもらう。

自分を向上させる案を
 自分で考えさせることがポイントです。
上司としては、
 それについてコメントするより、
 その選択に責任を持たせることのほうが重要でしょう。

ステップ4
 「任せる」 


上司は“フィードバッカー”であれ 
 部下の成長のためには、
 仕事を少しずつ任せていくというプロセスが欠かせません。

また部下の側も、
 強い自己肯定力を背景に、
 任されることを望んでいます。
それによって成果を出したら、
 次にもっと大きな仕事を任せる、
 という循環が生まれれば、
 それに越したことはないでしょう。

仕事を任せるなら適材適所が原則ですが、
 加えていくつかのポイントがあります。
まず、
 ミッションが個別具体的であること。
アプローチの方法は個々人に任せること。
そして、
 その仕事が組織全体の中でどういう位置づけなのかを示すこと。

いささか誇張気味にいえば、
 往年のテレビドラマ
 『スパイ大作戦(Mission Impossible) 』のメンバーのように、
 それぞれバラバラに機能しながら、
しかし
 最終的に一つのミッションをクリアできれば理想的です。
そのシナリオを書くのが上司の仕事。
さながらリーダーのジム・フェルプスのようなもの、
 といえるでしょう。


ミッションクリアに向けて、
 細かく結果をフィードバックしながら
 メンバーの仕事を探っていこう。 

ただドラマとは違い、
 全員がうまく機能するとはかぎりません。
誰かが行き詰まったり、
 方向性を誤ったりするものです。
そういうときこそ上司の出番。

ミッションを修正したり、
 メンバーの役割を入れ換えたりしつつ、
 それぞれの部下により適した仕事を探っていけばいいでしょう。

しかし
 その前に、
 やるべきことがあります。

例えば
×ゴルフの指導をするとき、
 フォームを手取り足取り教えるより、
 打ったボールの落ちた場所や曲がり具合を逐一教えたほうが、
 早く上達する場合があるそうです。


○結果を細かくフィードバックすることで、
 「では次はこうしてみよう」と
 自発的に修正する意識が働くためです。


ビジネスシーンでも、
 これは応用できると思います。
上司がときどき部下の仕事ぶりを確認し、
 本人に提示すれば、
 部下は軌道修正を図りやすくなる。
少なくとも、
 そういうチャンスを与えるべきでしょう。
つまり上司は
 一度、“フィードバッカー”に徹してみることが必要なのです。


上司の的確な評価やアドバイスがあってこそ、
 部下は自分の能力を伸ばしていくことができます。
「この人の下なら自分の力を発揮できる」と思われるような上司を目指すべきです。
 
以前、
 ある大企業の経営者の方にお会いしたときのこと。
不躾ながら

「大組織のトップになるために必要な要素は何ですか」
 とお伺いすると、


答えは
 「公明正大であること」でした。


常に客観的で公平であろうとすることが、
 周囲の人に信頼感と安心感を与えるのだと思います。

 
上司と部下のコミュニケーションにおいても、
 これは当てはまります。


×上司たるもの、
 人間関係に
  好き嫌いや
  合う・合わないはつきものです。
しかし、それを判断基準にしてはいけない。


当たり前の話ですが、
 
○どんな組織のリーダーであれ、
 公明正大であることを
 常に心がけていただきたいと思います。

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第2回のテーマは「取引先」との人間関係

第2回のテーマは「取引先」との人間関係。

取引先の担当者と信頼関係を築くことができれば、
 ビジネスチャンスは大きく広がります。

今回は
 「初めて会う時」
 「日常でのアプローチ」
 「トラブルが発生してしまった時」

 という3つのシーンを設定して、
 
 人間関係力を高める「技」を伝授していただきます。

取引先とのつきあい方こそ、
 人間関係力が試される
 

当たり前の話ですが、
 あらゆるビジネスシーンに「取引先」の存在は欠かせません。

とはいえ、
 会社が違えば文化も違う。
上司や部下と違って四六時中顔を合わせているわけでもないし、
 利害関係も一致するとはかぎりません。

だからこそ、
 より人間関係力が重要になります。


いかに“文化の壁”を乗り越え、
 相互理解を深め、
 信頼関係を築いていくか。

代表的な3つのシーン

シーン1
 新たに取引先の担当者と会うケース


挨拶もそこそこに商談に入る、
 という場合もあるでしょうが、それだけでは寂しい。

その前にひと呼吸、
 場の空気を演出するような
 コミュニケーションがあってもいいはずです。

相手に
 「信頼できそう」
 「気持ちよく仕事ができそう」と思ってもらえれば、
 それに越したことはありません。


では、どうするか。

ふつうに考えれば、
 自分や自社を印象づけるため、
 気の利いたパンフレットを用意したり、
 アピールになる略歴やエピソードをプレゼンしようという話になるかもしれません。

しかし
 そこには、
 重大な視点が欠けています。

「真の話し上手は聞き上手」ということです。

自分のことを10話すぐらいなら、
 相手に10の質問をしたほうがいい。


もちろんビジネスで会っているのですから、
 モーツァルトにバイエルの弾き方を尋ねるようなものではいけません。

相手が言いたいであろうこと、
 自尊心をくすぐること、
 時と場に合った話題を質問するのです。
それによっていい情報を得られれば、
 自分にもプラスになります。


私はこれを「質問力」と名づけています。


初対面では特に、相手への「質問力」が重要。
前もって質問を組み立てておこう。
 

初対面であれば、
 個人的なことではなく、
たとえば
 会社の直近のニュースリリースや
 業界全体のニュース等から質問を組み立ててみてはいかがでしょう。


人は、
 自分に興味・関心を持ってくれた人に好感を持ちます。


 「よくぞ聞いてくれた」
 「そこまで調べてくれたのか」となれば、
 間違いなくいい印象を持たれると思います。

質問に自分なりの見方をちょっと加味すれば、より効果的です。

概して、
 日本人は質問力が弱い傾向にあります。
学校で学ぶ機会がなかったので、
 ある程度仕方ないかもしれません。
だからこそ、
 いい質問はポイントをグンと上げるチャンス、ともいえるでしょう。


シーン2
 つきあいをより深めたいとき 
 「末永くご愛顧を」とは、
 どんな取引先に対しても思うもの。


そのために
 各種の接待等で関係をつなぐ手もありますが、
 基本はお互いに理解を深めつつ、
 もっとWin-Win になるような方向を探っていくことです。

議論の構造を図化することで情報やアイデアを共有。
一体感のある場が生まれます。
 

そこで欠かせないのが、
 メモ。

「そんなことか」と思われるかもしれませんが、

私に言わせれば、
 まだほとんど有効活用されていません。
私が推奨しているのは、
 従来型のメモではなく、
相手のため、
 そして論点を整理して場を盛り上げるためのものです。


私はこれを
 「マッピング・コミュニケーション」と呼んでいます。


用意するのは、
 ノートではなくB4のコピー用紙。

これを自分と相手の間に置き、
 相手に見せながら、
 会話の内容をメモしていくわけです。

書くのは文章ではなく、
 キーワードだけで十分。

その代わり箇条書きではなく、
 紙の中心あたりからどんどん書き込んでいきます。


相手にも直接書き込んでもらえればなお可ですが、
 慣れないと余計な神経を使わせてしまうため、
 無理強いする必要はありません。

「こういうことですね」と
 相手に確認をとりながら書き込んでいけば、
 相互の理解も深まるはずです。


具体的に決まった書き方はありませんが、
 ざっと以下の
 3点に気をつけると、
 より見やすくなるでしょう。


1.重要な言葉やカテゴリーを丸で囲んだり、
 関連する事項を矢印で結んだり、
 相反する意見を逆矢印で強調したりする。

2.「3色ボールペン」を用意して書く(または囲む)。
 「青」、基礎的な情報
 「赤」、非常に重要なキーワード
 「緑」、個人的におもしろいと思える言葉やアイデア

3.メモをお互いに見やすくするため、
 相手とは正面ではなく、
 机の角などを使って90度の角度になるように座る。


取引先とのコミュニケーションについて
 編集部が作成したマッピングのシート 
つまりメモをとるというより、
 議論の構造を図化していく作業といえます。

メリット
1.要点がリアルタイムに浮かび上がる
2.相手と情報やアイデアを共有できる
3.共同で一つのものを組み上げていくような一体感も生まれます。
感謝されることは間違いないでしょう。


そしてもう一つ、
 大きなポイントは、
 相互理解の“証”が紙として残るということ。

議論が終わった段階で
 その日の日付を入れる
 双方がサインをして
 コピーを持ち合う。

 これはある種の軽い契約書のようなもの になるし、
 手書きでゴチャゴチャ書き込んである分、
 見返すだけでその日の具体的な会話や雰囲気まで思い出すことができます。

つまり、
 継続的な議論がしやすくなるわけです。

この紙の厚みが増せば増すほど、
 それだけ相互の理解が深まったことを意味します。
当然、そこには信頼関係も生まれるでしょう。
主張すべきは主張し、
 譲歩すべきは譲歩するという“勘どころ”も見えやすくなるはずです。


シーン3
 トラブル発生!


徹底して聞く姿勢を持ち、
 積極的に質問をぶつけながら善後策を探ることが重要。 
取引先を怒らせてしまったり、
 「もう取引しない」と通告されたり…。
できれば避けたいところですが、
 ビジネスにトラブルはつきものです。
そんなとき、
 重要なのはその後の対処。
ただ謝るだけではなく、
 善後策を探ることです。
むしろ今までに溜まった“膿”を出し切ることで、
 関係を強化できるチャンスにもなり得ます。

その意味で、
 トラブルが起きてしまった時の対応は交渉の一環ともいえるでしょう。
そこで参考になりそうなのが、

いわゆる
 「ハーバード流交渉術」。


米ハーバード大学には「交渉学」という研究分野があり、
 その成果はビジネス現場で広く応用されています。

これには、
 大きく3つのポイントがあります。


第一は、
 双方の利益をはっきりさせ、すり合わせること。


 もちろん一致するとはかぎりませんが、
  勝ち負けを競ったり、
  言いくるめたりするのではなく、
  共通点を見出していく。
 まさにWin-Win の関係を目指すということです。
 話しているうちに、
  自分の利益についての考えが変化することもあります。

第二は、
 オプション(選択肢)を提示すること。

 
 相手の要求を素直に飲めないとき、
  押し問答になっては埒が明きません。
 そこで
 「これならどうか」と代替案を出すわけです。


第三は、
 相手の要求の理由や根拠を見きわめること。


 特に内容が苦情の類いである場合、
  無理難題を要求されたり、
  取引の解消を求められたりする場合もあります。
 しかし
  その真意を探っていくと、
  「あのときの態度が悪かったから」
  「以前の約束を反故にされたから」など、
 小さな感情のモヤモヤが発端になっていることが少なくありません。
 これがわかれば、
  提示すべきオプションも見つけやすくなるはずです。

 いずれにも共通して重要なのは、
  徹底して「聞く姿勢を持つ」ということです。


 黙ってうなだれるのではなく、
  むしろ積極的に質問をぶつけて問題点や相手の要望を明らかにしていく。
 そこからオプションを探っていくわけです。
 また感情的な爆発については、
  相槌を打ちつつ理解を示し、
  吸収していく必要もあります。

 このときに有効なのが、
  前述の「マッピング・コミュニケーション」。
 無理難題や怒りに任せた言葉を受け、
  「こういうことですね」と紙に書きながら見せていく。
 そうすると、
  さすがに相手も冷静になって「言いすぎた」と気づくものです。
 さらに、
  現実的にどういう問題があるかを構図化していくことで、
  共通理解の土俵が生まれます。
 敵対的な関係にあるとすれば、
  その要因を一枚の紙にぶつけて“共闘”する体制に変える。
 つまり関係性をずらしていくわけです。

 常に「代替策」の用意を 以上を心がけていれば、
  取引先との関係は友好的になり、
  しかも長続きすると思います。
 多少のトラブルがあっても、
  それまでのつきあいの深さ・長さが解決してくれるでしょう。

 ただもう1点、
  あらゆる交渉の前提として覚えておきたいのが
 「BATNA(Best alternative To a Negotiated agreement)=バトナ」という考え方です。
 直訳すると
  「交渉決裂時の最善の代替策」で、
  平たくいえば同業他社の取引先・交渉先を事前につくっておくということです。

 これには大きく2つの意味があります。

 1つは、
  同業他社と比較することで、
  交渉時にどこまで譲歩できるかという基準ができること。
 そのラインを越えて譲歩を迫られるようなら、
  同業他社と交渉・契約したほうがいい、
  という選択が可能になるわけです。

 そしてもう1つは、
  それによって心理的に余裕を持てること。
 ある件で特定の1社としか取引がないとすると、
  条件を呑まざるを得なくなるため、
  交渉そのものが不利になります。
 もちろん、
  他社の存在をチラつかせながら交渉するのはフェアではありませんが、
  自分の心のバックボーンとして持つことは有効です。
 たとえ立場が相手より弱かったとしても、
  必要以上に弱気・卑屈になることはなくなるでしょう。


 取引先との立場の違いから、
  スムーズに事が進まないということは多々あると思います。
 しかし、
  相手との接し方を探り一つ一つの経験を自分のルールとして蓄積していくことで、
  人間関係力は確実にアップします。
 
 一般に「異文化コミュニケーション」の大切さ、
  おもしろさは、
  誰もが認めるところです。

 適度な緊張感と、
  視点の違いによる発見や驚き、
  そして共通理解が得られたときの嬉しさ。

 やや大げさかもしれませんが、
  これらは取引先との関係においてもあてはまると思います。
 取引先と会うことで脳が刺激され、
  場が活性化し、
  新たなアイデアが生まれる。
 そういう瞬間こそ、ビジネスの醍醐味ではないでしょうか。

「上司」との人間関係

第1回のテーマは「上司」との人間関係。

社会に出たビジネスパーソンが、
 最初に関わる存在です。
上司にはさまざまなタイプがいます。

尊敬できる上司もいれば、
 なかには
 「つき合いにくさ」を感じてしまう上司もいるでしょう。

そんな時は、
 どのように人間関係を
 築くべきなのでしょうか。


一般に「フロストシリーズ」(R.D.ウィングフィールド著/創元推理文庫)
 と呼ばれる人気小説があります。

主人公フロスト警部の破天荒なキャラクターもさることながら、
 彼の上司である
マレット警視のイヤらしさも相当なもの。

保身と責任逃れに終始し、
 上の者には平身低頭、
 下の者には罵詈雑言。

 まさに絵に描いたような
“ダメ上司”です。


しかし、
 フロスト警部はマレット警視をまったく意に介しません。
 
事件解決にのめり込んでいるからです。
いささか理想論ですが、
 
仕事自体がおもしろければ、
 相対的に上司の比重は軽くなります。


逆にラクをしたいとか、
 給料さえ貰えればいいという発想だと、
 上司の存在は重くなる。


ビジネスパーソンが
 目指すべきは、
 前者ではないでしょうか。

ところが現実は甘くない。
 せっかく就職した会社を
 早々に辞めてしまう人が少なくありません。


理由を尋ねると
 やはりよくある答えが
 「上司とソリが合わないから」。

たしかに、
 マレット警視ばりの上司も多いのでしょう。
むしろ、
 欠点のない上司はこの世に存在しないと思います。

人には、
 リスペクトできない相手を
 遠ざけようとする性質があります。

それが上司であれば、
 たとえ社内の席が隣でも、
 なるべく壁をつくって関わらないようにする。

もちろんそういう意識は、
 上司にも伝わります。


その時点で
 コミュニケーションは希薄になり、
 関係はますます悪化していくわけです。

そこで提案します。
どこまで仕事にのめり込めるかは別として、
 まずはフロスト警部のように
 上司に対する批評を棚上げしてみてはいかがでしょう。

「それができれば誰も苦労しない」と思われるかもしれませんが、

要はちょっとした
 考え方と接し方の問題です。


どんなに上司の悪口を並べても、
 すぐに異動できるわけでも、
 上司のキャラクターが改善されるわけでもありません。

しかし、
 批評を止めれば関係性は変わります。

次に上司のタイプを
 大きく4タイプに分類
し、
 
それぞれの接し方について
 考えてみたいと思います。




タイプ1
 優秀すぎる上司
 

上司だから優秀なのか、
 優秀だから上司なのか、
 世の中に“できる上司”は少なくありません。

しかし、
 「名選手かならずしも名監督ならず」の言葉どおり、
部下は
 少なからず苦労するものです。
上司が自分で仕事をどんどんこなしてしまう分、
 部下にはチャンスがめぐってこない。
その結果、
 仕事のおもしろみを知る前に、
 嫌気がさして辞めてしまう人もいます。

こういう上司の下で働くことになったら、
まずは
 安心感を持ってもらうことがポイントです。
仕事の小さい部分について、
 「この分野なら自分は確実にやる」というオファーを自分から出し、
 きっちり結果を残して信頼を得る。
これを繰り返すことによって、
 少しずつ上司の“領土”を割譲してもらおうというわけです。


小さなことから、
 結果を残して信頼を得よう。

仕事のやり方を盗むチャンス! 

実は
 上司の側も、
 ある程度の仕事を部下に任せられれば楽なはずです。
自分が直接やるより結果は劣っていても(そう自負していても)、
 大勢に影響のない部分なら割譲してしまいたい。
だから、
 申し出てくれる部下がいればありがたいはず。
ところが、
 そういう積極的な部下が少ないため、
 自分でやるしかない。
だからますます上司は優秀さに磨きがかかり、
 部下は取り残されていくのです。

このタイプの上司にかぎった話ではありませんが、
 「草食部下」では浮かばれません。
むしろ上司とワークシェアするぐらいの気概が必要だと思います。
まして上司が優秀なら、
 手伝いながら
 仕事のやり方を盗んでいく
 感覚を持てばいいのではないでしょうか。

タイプ2
 仕事はできないが面倒見のいい上司


面倒見の良さは大切。部下が仕事面をフォローすることで、さらに働きやすい職場に。 職場における最大の問題は人間関係です。その意味では、多少仕事はできなくても、面倒見のいい上司なら対処しやすいでしょう。部下が仕事面で上司を盛り立てるぐらいになれば、ある意味で“Win -Win”の関係だと思います。

 むしろ問題なのは、部下が上司をクールに判断し、「仕事ができない」と見下してしまうことです。これではお互いにギクシャクしてしまうだけ。働きやすい場を提供してくれているというだけで、この上司は“優秀”の部類に入ります。部下にも、そういう部分を高く評価する度量が必要だと思います。

 だいたい部下にしろ上司にしろ、「仕事ができる・できない」という一点で評価することは、職場を殺伐とさせる元になります。優秀な人しかいない会社などはあり得ません。いろいろな人が集まっているからこそ、組織として機能しているのです。それを理解すること、そして場の雰囲気が大事だと知ることも、社会人として成長する一歩だと思います。

 それでももし、仕事のできない上司にイラッと来ることがあれば、映画『男はつらいよ』の「寅さん」を思い出してみてはいかがでしょう。もちろん好き嫌いは人それぞれですが、常にいい加減な寅さんを「許せない」と断じる人がいたとすれば、いささか心が寂しい気がします。逆に寅さんのような人が活躍するような職場であれば、そこには多くの「さくら」(編集部注:寅さんの妹。気くばりが上手なしっかり者。)が育つと思います。


タイプ3・無責任・保守的な上司 

部下がもっとも対応しにくいのが、
 無責任・保守的なタイプの上司でしょう。

日本の風土のせいなのか、
 どんな組織でも保守的な考え方は一大勢力を誇っています。

これが企業の活性化を妨げる要因にもなっていますが、
 排除することはできません。

さらに問題なのは、
 こういう保守的な空気が上司から部下へ伝播すること。
心ある部下やヤル気に満ちていた新人まで、
 一人でストレスを抱え込んだり、
 社内に居場所を失ったり、
 結果的に会社を去る事態になりかねません。


そこで
 取り得る方法
としては、

まず同僚と話して認識を共通化することでしょう。
グチや不満をぶつけ合うのではなく、
 「こういう言動があった」
 「あの判断は後ろ向きだった」
 などの事実を列挙してみること。


賛同する同僚が多ければ、
 それだけ認識は正しかったことになります。

少なくとも、
 これによってストレスを共有できれば、
 心理的な負担はある程度軽減されるはずです。


ストレスを抱え込まず、
 チームワークで保守的な判断を変える気運を盛り上げよう。 

では、
 この状況をどうすれば変えられるのか。


一つの方法として考えられるのは、会議を活用することです。
同僚間で事前にある程度根回しをして、
 ある種の“シナリオ”を用意する。
上司をつるし上げるとか、
 動議を持ち出すといった
 物騒なことまで考える必要はありません。

たとえば
 上司に決済を求める場面
で、
 
保守的な判断をした場合の
 リスクやポジティブな判断をした場合の
 
メリットを複数の部下が同時多発的に発言していけば、

さしもの上司も安易に結論を出すことはできなくなるでしょう。
いわば
 “数の論理”で気運を盛り上げていくわけです。

会議とは、ある種の“ゲーム”です。
チームでアイコンタクトによるスルーパスやフォローを繰り返しながら、
 ゴールを目指す。
上司との関係性においても、これは有効だと思います。


タイプ4・他人に厳しく、威圧的・感情的な上司 

上司の中には、
 意味もなく威張ったり、
 いきなり怒鳴り出す人がいます。

最近は
 “パワハラ”の事例がよく紹介されますが、
 言われた部下本人だけではなく、
 組織全体を萎縮させるという意味で、
 やはりかなり問題があります。

こういう人には、
 概して自意識・自尊心がきわめて強いという特徴があります。

自分に対する言動に過剰に反応するタイプ、
 と言い換えることもできるでしょう。


そこでまず気をつけるべきは、
 部下としての態度や話し方。

怒鳴る上司を批判する前に、
 言葉づかいや勤務態度など、
 怒鳴られても仕方のないような
 言動は慎む必要があります。


そもそもこのタイプの上司は、
 けっしてつきあいにくいわけではないと思います。
私もかつて出会ったことがありますが、
懐(ふところ)に飛び込んでしまえば
 意外とうまくかみ合ったりするもの。
私はこれを
 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ方式」と呼んでいます。

一緒に飲みに行ってみるのも効果的。
敬遠せずに、
 思いきって懐に飛び込んでみよう。 

その方法論は大きく二つ。
第一は
常套手段ですが、
 一緒に飲みに行ってみること。
多少の説教や自慢話さえ覚悟すれば、
 ガス抜きと雪解けが期待できます。

そして第二は
素直に褒めること。

このタイプの上司にかぎった話ではありませんが、
 最近よく思うのは、
 
一般的に上司の言動に対する
 部下の態度があまりにも冷たいのではないか、
 ということです。


たとえば、
 ときどき複数の会社の会議に参加させていただくと、
 上司が一生懸命話をしているのに、
 ただうつむいていたり、
 何かの資料を読んでいたり、
 隣の人と別件の話をしたりしている人をよく見かけます。

「こういう部下を持った人は苦労するだろうな」とつい上司の肩を持ちたくなります。

どれほどつきあいにくい上司でも、
 最低限のリアクションをするのは社会人としてのマナーです。


おべっかを使う必要はありませんが、
 筋の通ったことを言えば「そのとおりですね」とうなずき、
 何か提案があれば賛成・反対の態度をはっきりさせる。

この程度なら誰でもできるはずです。

上司との関係を良くするために
 「無理やり自分を押し殺せ」とか
 「心にもないお世辞を並べよ」などと言うつもりはありません。

あくまでも自分の仕事をやりやすくすることが目的です。

どんな形であれ
 コミュニケーションを重ねることは、
 お互いの気持ちをほぐします。

少なくとも相手を避け
 何もしないよりは、
 ずっと空気が和らぐと思います。
 
一般に、
 部下を育てるのは
 上司の仕事とされています。
しかし
 私に言わせれば、
 その上司を育てるのは
 部下の仕事だと思います。


「育てる」に語弊があるなら、
 「持ち上げる」とか
 「乗せる」でもいい。

評価は脇に置いて、
 上司の立場は尊重する。
お互いに気分良く仕事をするために、
 これは欠かせません。

コミュニケーション力、斎藤孝

コミュニケーション力、斎藤孝

人とのコミュニケーションが
 うまくいってるときって
 すごく楽しいです。


コミュニケーションって、
 最新鋭のロボットでも
 他の生物もできない、
 人間だけができることですしね。

でも
 コミュニケーションって
 難しいって思うときがあります。


仲良くなりたいって思ってる人と
 うまく会話が進まなかったり、
 深い議論をしたいのに
 なかなか発展しなかったり。

密度の濃いコミュニケーションが
 できるようになるためには
 普段なんとなく会話するんじゃなくて、

ここで書かれてるようなことを
 意識しながらしよって感じました。


○自分の身の回りの情報を伝え合うだけでは、
 コミュニケーション力は向上しない。
相手の経験世界と
  自分の経験世界を絡み合わせ、
 一つの文脈を作り上げていくことで、
  次の展開が生まれる


コミュニケーションは
 単なる情報交換じゃないんですね。


それだったらgoogleで調べたほうが情報量も多いし早く答えが見つかります。

コミュニケーションすることによって、
 相手の話のなかにも
  相手が気づかなかったことを引き出して、
また
 自分も話をすることによって
  頭のなかを整理できて、
 かつ相手に
  広がりをもたせてもらえます。


筆者は
 マッピングコミュニケーション
 というものを薦めています。


マッピングコミュニケーションとは、
 紙に会話のキーワードを線で関連をつけながら書きとめていくことです。
そうすると、
 自由な発想が生まれやすいらしいです。


○世間話の効用というものもある。
 お天気の話から入り、とりとめもない世間話をする。
 お互いに知らぬふりをしているよりは、
  ずっと気持ちが楽になる。


世間話ってそんなに積極的にはしないんですよね。
そんなことしても何の得にもなるわけでもないし、って思ってて。
でも、
 一緒にいるのに会話しないと気まずい感じになるのも確かです。
しょうもない話でも始めるってこともイイことかもしれません。
そこから、
 新たな会話や人の広がりができるかもしれないですし。


○話を聞くときに(中略)
 自分が再生するのだという前提で話を聞くと、
 話の聞き方が格段に積極的になる


人の話を聞いてある程度理解したつもりにはなっていたとしても、
 自分がその話をする側になると全然分かってないなぁ~ってときよくあります。
これ大事ですね。
ただいろんな話を聞いたり情報を調べてるだけでは頭に残りにくいですし。
勉強したことを人に発表する機会をもっとつくらないとな。
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