「選択と集中」戦略の失敗を認めた

「選択と集中」戦略の失敗、

日経の失敗日経新聞が
 〔自分が10年前に〕もてはやした
 「選択と集中」戦略の失敗を認めたようだ。 2012年03月13日

NEC、ソニー、シャープ、パナソニック……、
 1月下旬以降エレクトロニクス大手の
 巨額赤字や人員削減の発表が相次いだが、
 社名をながめていると共通項が浮かんでくる。

いずれも
 バブル後の「失われた15年」を克服するため
 1990年代後半から2000年代にかけ
 「選択と集中」を迫られた企業である。

一時は効果を発揮して苦境を脱し、
 新たな成長の道筋を築いたかに見られたが、
 現時点で振り返ってみると
 リストラ途上で新事業の芽を摘んだり、
 集中投資が思惑外れとなった事例が目につく。


成功体験にとらわれ、
 見通しやタイミングを誤ると
 「選択と集中」は
 企業の手足を奪い、
 縮小均衡を繰り返す悲惨な結果をもたらす。
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「選択と集中」のアサイン、部下から退職願

「選択と集中」のアサイン、部下から退職願

※アサイン【assign】
割り当てる、指名する、配属する、あてがう、帰する、代入する、などの意味を持つ英単語。

経営者に経営戦略で一番大切なことは何かと問えば、
 その答えの筆頭が
 「選択と集中」だろう。


業績が悪くなった企業を建て直すとき、
 多くのケースで選択と集中が徹底して行われる。

中小企業が大企業と戦う場合は、
 いわゆる「ランチェスター戦略」として
 選択と集中が用いられる。

一方最近の日本では、
 「選択と集中の誤算」が
 経済メディアで話題になっている。


その代表例が
 シャープやパナソニックの
 薄型テレビ事業に関するものだ。


経営資源を集中し、
 一時は大きな成功を収めたものの、
 あっという間に韓国サムスンに追い越され、
 窮地に陥った。

勝者のサムスンでさえ、
 技術革新と競争激化で
 利益を出しにくくなっているという。


「だから選択と集中は間違いだ」という論調も増えている。

この「選択と集中が是か非か」というテーマは、
 他人事ではない。

ある技術分野に特化して仕事や勉強をしたほうがよいのか、
 それとも幅広いジャンルの技術を浅く広くやるべきか、
 悩んだことがあるだろう。

またベンダーのSEであれば、
 特定の顧客を長い期間担当するのと、
 多数の現場を次々と経験していくのとでどちらがよいのか、
 非常に難しい問題である。

ITエンジニア個々の性格や資質にもよるし、
 案件ごとの事情もあるだろう。

現実の経営において
 「選択と集中」と
 「分散・多角化」が繰り返されるように、

物事には
 潮目というものがある。

その潮目に気付かないと、
 大きな失敗になるのではないか。




ベンダーX社のSE課長、Aさんの失敗を紹介しよう。

A課長は7年前、
 まだ若手だった部下のBさんを、
 Y社の人事評価システムの開発プロジェクトにアサインした。

Bさんはプロジェクトで最年少であったが、
 非常に優秀で熱心に仕事に取り組んだため、
 Y社から気に入られ、
 本番稼働後の維持管理メンバーにぜひ、
 と指名された。

A課長は
 Bさんが顧客から高く評価されたことを喜び、
 Y社の要望通りBさんをアサインした。

最初の1年間は
 先輩SEと組んで維持管理に当たったが、
 2年目からはBさんが1人残って担当することになった。

Y社はX社にとって上顧客であり、
 A課長は「適材適所で顧客満足の高い配置ができた」と自画自賛したそうだ。

X社のSEは
 複数の顧客を担当することが多かったので、
 1社に特化したBさんのケースは
 「選択と集中だな」と周りからも注目されていたという。

それから5年もの間、
 BさんはY社の担当から外れることはなかった。
5年後にシステムの再構築を行うこととなった際、
 当然のごとくA課長はBさんをプロジェクトリーダーに任命した。

ところがBさんは、
 5年以上同じ仕事にさすがにマンネリを感じていた。
また1人で担当していたので、
 休暇もなかなか取れないでいた。
この再構築プロジェクトを機に、
 本番稼働後は若手に維持管理を譲って、
 別の案件を担当したいと願い出た。

そこでA課長が、
 新システムの維持管理はBさんから若手に交代したいとY社に打診したところ、
 強いクレームが来たのである。
「Bさんがいてくれないと困る。
 Bさんが担当してくれることを前提に再構築を依頼したのだ」。

これではBさんを外すことはできない。
 A課長がBさんに「あと1年だけ」と頼むと、
 Bさんから退職願が出された。

Bさんいわく、
 同期入社のSEの多くは
 プロジェクトリーダーとして活躍している。
ところが自分は
 ずっとY社に常駐しているので新しいことは学べず、
 昇進も遅れている。
A課長は
 Y社の意向に逆らえないだろうから、
 自分が辞めるしかない。

説得もむなしくBさんは退職し、
 Y社からは厳しくしかられたそうだ。
以下はA課長の反省の弁。
 「うまくいっていると安心して、
  1人のSEに頼り切っているだけだった。
 最初はよくても、
  年を経て状況が変化していることを見過ごしていた。
 定期的に見直しを行うことの重要さを思い知った」。

日本企業で「選択と集中」が進展しない理由

日本企業で「選択と集中」が進展しない理由

今や、「選択と集中」は、
 ごく一般的な経営用語になってしまった。

しかし
 実際に、
 成長性の高い事業を選択し、
 業績が芳しくない事業から
  撤退できているのだろうか。


長期雇用だけでなく、
 日本企業にはさまざまな特有の事情があり、
 必ずしもうまくいっていないようである。


好況下と不況下
 二つの状況をケースにして、
 あるべき「選択と集中」論を提言する。

もともと
 戦略の本質は
 「選択と集中」にあるのだから、
 
「選択と集中」という言葉自体は
 何も目新しいものではない。

「まじめに考えて経営しなさい」と言っているのと
 ほとんど同じ程度のことである。

 
実体としての企業経営の中でなかなか
 「選択と集中」が実現できず、
 それゆえに長きにわたって経営のキーワードとして君臨してきているのである。

「選択と集中」が
 キーワードとして君臨するにはそれなりに理由がある。


とりわけ
長期雇用を重視する日本企業の場合、
 簡単に事業売却ができるわけではないから、
 
もともと
 ダイナミックな「選択と集中」を
 簡単にやってのけることができない。

しかし
 事業売買が難しいからばかりでなく、
 それ以外にも

 長期雇用を重視する
  日本企業にとって
  「選択と集中」を
  難しくする問題があるように思われる。

はたして、
 「選択と集中」は、
 どこがどのように難しいのだろうか。


まず、
不況下の「選択と集中」は際だって難しい。

その最大の理由は、
 明らかに長期雇用慣行にある。


長期雇用慣行は
 人件費を固定費に変える。
固定的な設備以外に
 人件費まで固定費になっている日本企業の場合、
 損益分岐点が非常に高いところにある。
損益分岐点が高いのであれば,
 ほんのわずかな売上高の低下でも収益率に大きな影響を及ぼす。


だから、
 長期雇用を重視している企業では、
 現在の売り上げに直結する業務に関して
 「選択と集中」を行っても、
 かえってマイナスの効果が目立ってしまう。

固定費が変わらず、
 売り上げが落ちるだけだからである。


不況期
 現行事業領域の「選択と集中」を行うのは
 極めて大量の出血が発生することになり、
 事実上実行不可能だとさえ言ってもいい。

唯一の例外は
 社内に急成長している部門がある場合である。


この急成長部門に人員を異動させれば、
 切り捨てられた旧部門の売り上げ分を
  比較的短期間で急成長部門が補ってくれるから、
 てこずることなく2〜3年で数字が好転するはずである。

しかし、
 急成長部門をもたない場合には、
  現行の製品系列を整理して
  「選択と集中」を行っても
  プラスの効果を短期的に生むことは難しい


この場合、
 現行の事業分野をそのまま維持し、
 未来の事業分野について
 「選択と集中」を行うしか手がない。


つまり、
 まず、現行の事業分野そのものへの資源投入を抑え、
 未来の事業分野創出への投資、
 すなわち研究開発や製品開発への投資を重視する。

さらに
 その開発活動そのものにおける
 「選択と集中」が必要である。

特定事業分野の製品開発を加速し、
 急成長する事業をつくり出すことに
 努力を傾けるのである。


これがうまくいけば
 急成長部門をつくり出すことができ、
 その結果として
 現行の事業領域に貼り付けられた人員を
 配置し直すことができるであろう。

そうなって初めて
 事業領域そのものの
 「選択と集中」が可能になるのである。

ずいぶん迂遠な道である。

現行事業の「選択と集中」は、
 一見ハデで格好よく、
 「自分は経営している」という充実感を与えてくれる。

しかし
 長期雇用を重視している
日本企業においては、
 見かけのハデさと引き換えの
 自殺行為になりかねない。



不況下の「選択と集中」は難しい。

いや、
 そのような人でなくとも,
 短期的な成果を誰からもプラスに評価されずに
 黙々と改革を進めるトップは孤独である。

数字が好転するのは
 数年先であり、
社内の現場からもマスコミからも不満の声が聞こえてくる。
研究開発努力の成果が見えてくる数年間を耐える忍耐力を支えるためにも、
トップ周辺の支持者たちに「経営の目利き」が多数存在し、
 トップを精神的に支え続ける必要がある。
この点で、
 やはり不況下の「選択と集中」は極めて難しいといえるだろう。

本来の改革を遅らせる「社内向けの正義」
 不況下の「選択と集中」に比べれば
 好況下のそれは遙かに容易なはずである。

なぜなら伸びている事業領域があるので、
 業績の芳しくない事業領域から人員を異動していくことが容易だからである。

希望退職を募ることなく、
 社内の配置替えだけで対応でき、
しかも伸びている部門が業績を急速に補ってくれるから、
 不況下に比べれば社内外の不満の声も比較的短期間で消える。

だから好況下の「選択と集中」は楽なはずである。



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